Mari Abe Creation

Mari Abe Creation

色とりどりのリバティプリントを
ドラマティックな解釈で組合せ、
軽やかでエレガントな
スタイルに仕立てるMari Abe

ブラウスやスカート、コートやワンピースなど、シーズンごとに生まれるどんなアイテムにもファッション本来のワクワクする高揚感、身に着ける方を華やがせる存在感といったポジティブなエネルギーがあります。

ここではデザイナーの阿部真理の言葉をパッチワークのようにつなぎながら、幸せを生み出す世界観をご紹介します。

Mari Abe Creation

Story1
カラーワークの感性とセンス

年2回、春と秋に発表されるMari Abeの新作は、新しいリバティプリントのデザインと、それを大胆に組み合わせる阿部真理の意欲的なデザインの2つの楽しみがあります。

リバティプリントを何種類も何色もあわせて構成するコートやジャケットには、とくに阿部真理らしさが感じられます。柄や色の合わせ方が特徴的ですが、Mari Abeらしさが際立つ独特の感性やセンスについて、幼少期から高校生まで親しんでいた音楽の世界を通して阿部真理は話します。

色や柄に対する感性とセンス

自分の色の感性や表現を伝えようとする時にイメージするのは、音楽の持つ和音のイメージ。音の重なりに心地よいものと、不協和音があるように、色をあわせるときに自然と心地よいものと心地よくないものを感じます。色を和音のような感覚でとらえているのかなと思います。その心地よいと感じる色合わせに、私らしいセンスを感じていただいているかもしれません。

幼少時から親しんでいたピアノではドラマティックな曲と、私はとくに相性がよかったんです。音や光を一緒の感覚でとらえられる感覚で、見えている世界と色を同じようにとらえています。

この感性を私自身は特別なものだとは思っていないのですが、和音と不協和音のように、色と柄も相性が一瞬にしてわかるんです。音の感覚と色と光の感覚は、私にとっては同じなのですね。

学生時代に通っていた文化服装学院では布帛、デザインを勉強しましたが、社会に出たら、ニットデザイナーがとても少なかったこともあって、ニットの世界へ進むことに。実家はもともと服飾を生業としていましたので、子どもの頃から自分の服を作り、編み物をすることが普通のことだったので。そのまま30年くらい経験を積みましたが、ニットの糸と糸をあわせて作品をつくる感性も、今のリバティプリントをあわせる感覚に役立っていると思っています。

「好き」という感性に理由はないですよね。MaReruraに来てくださる方もMari Abeを大切に思ってくださる方も、私が感じる和音に共鳴してくださっているように感じます。

色や柄に対する感覚とセンス
色や柄に対する感覚とセンス

Story2
深まるリバティプリント愛

ニットデザイナーとして、ファッション業界でのキャリアをスタートした阿部真理ですが、2008年、それまでも好きだったリバティプリントのおもしろさに改めて目覚めます。
それはほんの偶然。近所で生地を扱う店が閉店するというので訪れた時、そこにあったリバティプリントを選びきれず、その店の在庫全部を大量に購入したことでした。

リバティプリントの歴史をつなぐ存在として

LIBERTY社が積み重ねてきた110年近い歴史や重み、リバティプリントそのものが持つ存在感が、Mari Abeのブランドを引き立ててくれると、シーズンを重ねるごとに感じます。今までにどれだけの人がこのブランドに関わり、どれだけの人を魅了してきたのか、素材に助けてもらっているといつも感謝しています。

リバティプリントは春と秋に新作が発表されますが、毎シーズンごとにワクワクさせられます。本当にすごいのは、ワクワクする気持ちを裏切られたことが一度もないことです。前シーズンで気に入って使っていた柄を新シーズンの何かとミキシングしてみようと思うのですが、それが難しいくらいシーズンごとに新しいデザインが登場するのです。歴史を大事にしながら、つねに新風が吹いているブランドだと心から感動しています。

この素材を、どの様に料理するかは考えていませんでしたが、あのお店で、目の前にたくさん積まれているのを見て心が震えました。このステキな生地で何を作ろうかしらって。その時のワクワクや感動がずっと私を動かし続けてくれているように思います。

リバティプリントの可能性

リバティプリントは2㎝のはぎれでも柄がおもしろく、捨てるところがないすばらしい素材。Mari Abeは1点1点をハンドメイドで制作するため、長く大切に着ていただけます。

Mari Abeの秋冬シーズンでは、アイテムによってはリバーシブルにしてお仕立てします。リバティが好きな人なら、1年中、気持ちよく着て過ごしたいでしょ? 薄いから1枚仕立ての春夏ものだけなんてもったいない。タナローンの生地は薄くて丈夫。リバーシブル仕立てを試してみたのはたまたまだったのですが、いいことがたくさんあることに気づかされました。

2枚重ねることで、身に着けていてもシワになりにくくなりますし、布と布の間に空気が入るからか、薄くて丈夫な素材だからこその魅力が、たくさんあるのですね。綿を挟めば寒い季節でも着られますし、リバーシブルなので見返しも必要ありません。見えないから糸始末などもラク。これは着る方にも作る方にも便利なだなぁと、工夫を楽しんでいます。
無駄に捨てるところがなく、長く着られるという点で、サスティナビリティにつながる素材だと感じています。”

今後は“リバティプリントのリバーシブル仕立て”をもっと多くの方、世の中に伝えたい。またご自分で作られる方には、ぜひチャレンジしてもらいたいと思って、ワークショップでもわかりやすくお伝えする努力をしています。

MaReruraのアトリエに来られる生徒さんは長く通ってくださる方が多いのですが、自分で作れるは自分で作って、難易度や完成度の高いものはMari Abeで購入してくださっています。一緒にお洋服を作ることは本当に楽しい経験で、時間をかけて作るものだからこそ、いい素材を使い、自分で自分の服を作る経験は今の時代だからこそ、大切にしてほしいことです。

深まるリバティプリント愛
深まるリバティプリント愛

Story3
クリエイターとして豊かな時間を積み重ねる

阿部真理はMari Abeのデザイナーとしての活動はもちろんですが、日々、いつも何かを作っています。大好きな植物を使ったリース、ワークショップの生徒さんにふるまうランチやデザート、ちょっと合間を見つけては目の前にある素材で何かしらを作り出しています。それが好評で、スタッフや生徒さんから「教えてほしい」とリクエストされ、ワークショップのメニューになることも。作り出すものはどれも色彩が豊かで美しく、幸せを届けてくれます。

根っからのクリエイター気質

「いつも何かを作っていますよね」とはよく言われるのですが、これもまた私にとっては普通のことで、“作る”というところに自分自身をチューニングをしていれば、いつでも作れるのですね。いったんスイッチを切ってしまうと、また“作る”スイッチを入れないといけないので、お料理でもお菓子でも、お花でも草木でも、なんでもつねにクリエイトしていることで、いつも作る世界にいることができる気がします。

私にとってクリエイションは、楽しくてハッピーなもの。それはとても自然なことなので、オンとかオフとかなく、作り出したものが幸せな波動として他の人に届くことをイメージしています。

ものを作るということは、つねに自分の内面が全部さらけ出される事。幸せになるために人間は生まれてきたにも関わらず、いろいろなことがあります。しかしそのいろいろなことは幻想で、いつも大きな力で守られているという気持ちでいたい。それを忘れないようにしています。

自分の気持ちが安定して幸せな状態ではない時は、何かを作ってはいけないとも考えています。やはり私の波動が作品を通して広がり、お客さまのもとに届きますからね。それがクリエイターとしての責任と考え、幸せな波動を伝えられるよう、自分の内面を整えることをいつも大切にしています。

着る物の持つエネルギー

人生、誰でも幸せな時ばかりではありません。それはそれとして認めながら、楽しいこと、好きなことをやりましょうよとメッセージを伝えることも大切にしています。1dayワークショップはランチタイムを挟んで、1dayで洋服を仕上げていきますが、作ることに没頭するだけでなく、手作りのランチやおやつを一緒にいただくことで、そのエネルギーも感じてもらえればと考えています。

着る物はたかが着る物ですが、いろいろなことにつながっている。お洋服の手作りにチャレンジするというひとつの扉を開けることで、ほかのことにもチャレンジしてみようと他の扉が開くこともあります。

「無地ばかりで、柄物なんて着たことない」というお客様も多いのですが、いざ柄物にチャレンジすることでお顔がパッと明るくなられます。今までの自分から一歩踏み出すきっかけになることもあります。お客様のそんな瞬間を見せていただけることは、クリエイターとしてとても幸せなことです。

これらの活動のすべてがMa Reruraです。これからもたくさんの幸せや喜びをお客様と、ともに体験していきたいと思います。